田中です。
「上達上手は実験上手。失敗しても笑い飛ばせる環境を作る。天才は余裕ある中でのびのびと実験しているのに対して、それを参考にした人達は困難な課題に誠実にぶつかり続ける。同じ事をしているようで正反対の事をやっている。」
甲野善紀氏、方条遼雨氏の「上達論」という本のなかの一節です。武術に関する内容ですが、練習に取り組む姿勢や考え方が書かれており、なかなか反省させられる事が多かったです。
稽古の病というフレーズがなかなか面白くて、練習に取り組む時、それは何の練習をしているのかという事を理解せず闇雲に練習すると、小手先の技術や対処療法的な事ばかりに目が行く上達を小手先の病とよび、まだまだ未熟なのに本格的な事をやっているという妄想にかられる状態を本格派ごっこの病と呼び、取り組み方に注意を促しています。その中で武術なので「お互いが違う練習をしようとすれば噛み合わない」というフレーズがありましたが、これはレッスンでも言える事だなぁと思いました。
試合の結果に関しての考え方としては、勝ち負けがはっきりする稽古を勝ち負けに囚われずにやる事で柔らかく結果を受け入れる心をつくっていく事が大切で、見たくない現実に対しては自分の記憶を改変してしまうほどの強烈な指向性が働く事を理解するようにとありました。また、目的を成すためには最善を尽くすしかなく、最善を尽くしたら後は結果に任せるしかない。その場でジタバタ足掻いたり、あれこれ思い煩うのは最善を尽くしきれていない。結果を結果のまま受け入れる心を養う環境を作る必要があると言っていました。
この「最善を尽くすしかなく…」どこかでも聞いた記憶がと思ったらトニーナダルも同じような事を言っていました。トニーの厳しさが今のラファのあの逞しさを作ったんですね。